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高齢者でも賃貸は借りられる?借りにくい理由と審査を通すコツ・支援制度を解説

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カテゴリ:契約


近年、単身や夫婦のみで暮らす高齢者の方が増えています。しかし、「高齢でも賃貸を借りられるの?」という不安の声は少なくありません。

本記事では、高齢者が賃貸を借りにくい理由と、審査を通りやすくする具体的な方法、利用できる支援制度までをわかりやすく解説します。

【目次】

なぜ高齢者は賃貸を借りにくいのか



少子高齢化が進む中で、高齢者の単身世帯は年々増加しています。しかし、いざ賃貸物件を探そうとすると「年齢を理由に断られた」「審査が通らない」といった声も少なくありません。その背景には、大家さんや不動産会社が抱えるさまざまなリスクや不安があります。

◆家賃滞納・孤独死リスクを懸念する大家や管理会社が多い

高齢者の入居をためらう理由として最も多いのが、「家賃の支払い能力」と「万が一のリスク」への不安です。年金収入のみで暮らしている場合、突然の入院や介護によって支払いが滞る可能性があります。

また、もし孤独死が起きた場合には、発見まで時間がかかることも多く、遺品整理や清掃費用などを誰が負担するかが問題となります。こうしたリスクを避けようと、貸主が慎重になる傾向があるのです。

◆家族が遠方で連絡が取りにくい、緊急連絡先がない

一人暮らしの高齢者の場合、「緊急時に誰に連絡すればいいのか」が不明確なことがあります。 入院や体調不良、火災や水漏れなどのトラブル時に、管理会社がすぐに対応できないケースもあります。家族が遠方に住んでいる、あるいは身寄りがいない方だと、万が一の時に連絡が取れず、トラブル処理が遅れるリスクがあるため、入居をためらう貸主もいるのが実情です。

◆退去時の原状回復・残置物処理などへの不安

高齢の入居者が急な入院や亡くなった場合、部屋の中に家具や家電などの残置物が多く残ることがあります。これらを撤去・処分するには時間も費用もかかり、相続人が見つからない場合には大家や管理会社がその負担を負うことになります。 こうした「退去後の対応コスト」も、貸主側が高齢者の入居に慎重になる理由のひとつです。

◆「高齢者=事故リスクが高い」という先入観が根強い

実際には健康で自立した高齢者も多いにもかかわらず、「年齢=リスク」とみなされてしまうケースが少なくありません。「室内で転倒するかもしれない」「火の不始末が心配」「認知症の兆候が出たら対応が難しい」といった、想像上の不安が判断に影響することもあります。 一度トラブルが起きると口コミや管理体制にも影響するため、オーナーや管理会社としては“リスクの少ない層”を優先しがちなのです。

孤独死・事故物件への対応は変わりつつある


かつては「部屋の中で人が亡くなった」というだけで“事故物件”として扱われ、次の入居者を見つけるのが難しくなるケースが多くありました。その結果、貸主は「高齢者を入居させるとリスクが高い」と感じ、契約をためらう傾向がありました。

しかし近年、国のガイドライン改正によって、この状況は大きく変わりつつあります。

◆2021年の国交省ガイドラインで「自然死・孤独死は原則告知不要」に

2021年10月、国土交通省が公表した「事故物件に関するガイドライン」では、 老衰・病死・孤独死などの“自然死”は原則として告知義務の対象外と定められました。つまり、事件や自殺などではない限り、貸主は次の入居者に対して「この部屋で亡くなった人がいる」と説明する必要がないということです。

ただし、発見が遅れて特殊清掃が必要になった場合や、腐敗や臭気などで長期間使用できなかった場合には、
「一時放置による影響」として告知が求められることがあります。
つまり、“自然死そのもの”よりも、“その後の管理状態”がポイントになっています。

◆一定の条件下では事故物件扱いにならないため、貸主の心理的ハードルが低下

このガイドラインの明確化により、貸主側にとっての心理的なハードルは確実に下がりました。 以前は「どんな死因でも事故物件になる」と考える人が多かったため、リスク回避のために高齢者の入居を避けるケースが一般的でした。しかし、自然死は原則告知不要というルールが定まったことで、「必ずしもマイナスにはならない」という理解が広がりつつあります。

この結果、最近では「高齢者専用の見守り付き賃貸」や「終身利用を前提とした賃貸契約」など、高齢者の受け入れを前向きに検討するオーナーも増えています。

◆対応は不動産会社・オーナーによって異なる点に注意

一方で、このガイドラインはあくまで“法律ではなく指針”です。つまり、最終的な判断はオーナーや不動産会社に委ねられているということ。中には「万が一を避けたい」と考え、ガイドラインを理解していても独自に“高齢者お断り”の方針を取るケースもあります。

また、地域によっても意識の差があります。都市部では制度の浸透が早い一方で、地方ではまだ慎重な姿勢の貸主も多いのが実情です。そのため、借りる側としては「高齢者の入居に理解がある不動産会社・管理会社」を選ぶことが、スムーズな契約への第一歩になります。


審査を通りやすくするための工夫



「高齢だから」といって自動的に審査に落ちるわけではありません。不動産会社やオーナーが重視しているのは“支払いの安定性”と“万が一の際の対応体制”です。それらを具体的な形で示すことで、貸主の不安を取り除き、契約につなげることが可能です。

ここでは、審査を通りやすくするために実践できる主な工夫をいくつか紹介します。

◆家賃2年分程度の預貯金を示すと信頼度が上がる

安定した収入や資産を証明できると、審査の印象は大きく変わります。 特に年金収入が主な場合は、通帳の写しや年金受給額のわかる書類を用意するとよいでしょう。さらに、家賃の2年分程度の貯蓄があると伝えられれば、「長期間にわたって支払いが滞る心配が少ない」と判断されやすくなります。


実際の現場では、預貯金額の証明は「信用の裏付け」として最も効果的な材料の一つです。また、収入が少なくても、定期的な入金履歴光熱費の自動引き落とし実績などが確認できれば、支払い能力の証明につながります。


◆家族が契約に同席・保証人になると印象が良い

入居希望者が単身高齢者の場合でも、家族が保証人や緊急連絡先として同席するだけで印象は大きく変わります。「何かあったときにすぐ連絡が取れる人がいる」というだけで、貸主の安心感が増すためです。

さらに、同席した家族が「家賃の支払いは確認しています」「生活サポートを行います」といった言葉を添えると、より信頼性が高まります。オーナーにとって最も不安なのは“連絡が取れないこと”なので、連携体制を明確に見せることがポイントです。

◆「なぜそのエリアなのか」を明確に伝える

審査の際には、入居の目的や背景を具体的に伝えることも大切です。たとえば「娘の家の近くで暮らしたい」「通院している病院が近い」「買い物が便利なエリアで安心して暮らしたい」など、理由が明確であれば、貸主も入居後の生活イメージを描きやすくなります。

「長く住んでもらえそうだ」「生活に無理がなさそうだ」と感じてもらえれば、貸主側の不安が和らぎ、結果的に審査が通りやすくなる傾向があります。


◆家賃保証会社の利用で保証人なしでも契約できるケースも

現在の賃貸契約では、家賃保証会社(保証業者)を利用するケースが一般的です。保証会社が入ることで、滞納時のリスクをオーナーが直接負う必要がなくなるため、高齢者でもスムーズに契約できる可能性が高まります。

利用時には、

  • 年金受給証や収入証明書の提出

  • 通帳のコピーによる資産確認
    などの書類が求められることがありますが、これらを正確に提出すれば問題ありません。

また、最近では「高齢者専用プラン」を設ける保証会社もあり、 見守りサービスや生活サポートを含めた契約形態も登場しています。こうした仕組みを活用することで、「保証人がいない」という理由で諦める必要はなくなりつつあります。

支援制度・新制度を活用する


近年は、国や自治体が中心となって「高齢者が安心して賃貸住宅に住み続けられる仕組みづくり」が進んでいます。以前に比べて制度や補助が整ってきており、経済面・生活面の両方からサポートを受けられる環境が整いつつあります。

ここでは、知っておくと役立つ3つの制度を紹介します。

◆2025年10月開始の「生存サポート住宅」制度

2025年10月から新たにスタートする国の制度が「生存サポート住宅(仮称)」です。この制度では、国が認定した事業者が入居者の“見守り”や“家賃保証”を担う仕組みが整備されます。

入居者が病気や高齢などの理由で突然家賃を払えなくなった場合でも、事業者が一定期間立て替える、または保証人に代わって対応することが可能になります。また、安否確認や日常の見守りサービスも含まれており、「孤立しない住まい」を国が制度的に支える形になります。

この制度の導入により、

  • 家族が遠方にいる単身高齢者でも安心して暮らせる

  • オーナー側も家賃滞納や孤独死リスクを心配しなくてよい

という双方にとっての安心材料が増えると期待されています。

◆「住宅セーフティネット制度」で高齢者向けの入居支援住宅が増加

すでに実施されている支援として注目されているのが、「住宅セーフティネット制度」です。この制度は、「高齢者・障がい者・子育て世帯など、住宅確保が難しい人にも安心して住める賃貸を提供する」ことを目的とした国の取り組みです。

登録された「セーフティネット住宅」は、一般の民間賃貸よりも入居要件が柔軟で、保証人がいなくても契約できる場合があります さらに、家賃補助や見守りサポートを組み合わせて提供する自治体も増えており、高齢者が一人でも住み替えしやすい環境が整備されています。

セーフティネット住宅は、都道府県や市区町村の公式サイト、または「住宅セーフティネット制度検索システム」で確認できます。岡山県や都市部でも登録物件が増えており、相談窓口では物件紹介や申請サポートも受けられます。

◆自治体・URなどの公営住宅は年齢を理由に入居拒否できない

県営・市営住宅、UR(都市再生機構)賃貸住宅などの公的住宅は、高齢者にとって特に心強い選択肢です。これらの住宅では、年齢を理由に入居を断ることは法律で禁止されています。また、所得に応じて家賃が減額される「家賃補助制度」や、高齢者世帯向けの優先入居制度が設けられている自治体もあります。

UR賃貸では、保証人不要の「URライトプラン」や、安否確認を含めたサポート付き住宅「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」への紹介制度もあり、単身でも安心して暮らせる環境が整っています。

ただし、人気エリアでは申込倍率が高いため、早めの申請や候補エリアの複数検討がポイントです。


高齢者に向いた物件選びのポイント


高齢者の住まい探しで大切なのは、「安全に暮らせること」「無理のない生活動線」「もしものときの安心感」です。年齢を重ねるほど、毎日の小さな段差や移動距離、急な体調変化が大きな負担になります。

ここでは、後悔しない物件選びのためにチェックすべき3つのポイントを紹介します。

◆階段や段差が少ない、バリアフリー対応

まず重視したいのは安全性です。高齢者の転倒事故の多くは、外出時ではなく室内で起きています。そのため、段差の少ないフラットな間取りや、手すりの設置された浴室・トイレなどのバリアフリー対応は欠かせません。

特に確認したいポイントは以下の通りです。

  • 玄関や廊下に段差がないか

  • 浴室・トイレ・階段に手すりが設置されているか

  • 引き戸やスライドドアが採用されているか(開閉のしやすさ)

  • エレベーターの有無(2階以上に住む場合は必須)

また、将来的な介護を見据えるなら、車椅子での移動が可能な広さがあるかどうかもチェックしておきましょう。 「少しの段差くらい大丈夫」と思っても、数年後には大きな負担になるケースもあります。 今だけでなく“今後も安心して暮らせるか”を基準に考えることが大切です。


◆駅やバス停、病院、スーパーが近いエリア

次に重視すべきは生活のしやすさです。移動距離が短く、日常生活に必要な施設が近いエリアほど、無理のない暮らしができます。

具体的には、以下のような立地条件が理想的です。

  • 徒歩10分圏内にバス停や駅がある

  • 病院やクリニックが近く、通院がしやすい

  • スーパーやコンビニ、ドラッグストアが徒歩圏内にある

  • 平坦な道が多く、坂道や階段が少ない

特に単身高齢者の場合、買い物や病院へのアクセスの良さが生活の質を左右します。「娘の家やかかりつけ病院の近く」「日中も人通りがある地域」など、安心して外出できる環境を選ぶと長く快適に暮らせます。

◆安否確認・見守りサービス付き物件を選ぶ

最近では、高齢者向けに見守り機能や安否確認サービス付きの賃貸物件が増えています。センサーや通信機器を活用して、長時間の不在・動きの変化などを検知し、異常時には管理会社や家族へ自動通知される仕組みです。

例えば、ニッショーの「見守りサービス付き賃貸」では、セキュリティ会社が定期的に安否確認を行い、異常時はすぐに家族や警備員が対応します。また、退去時の残置物処理や清掃対応なども整備されており、貸主にとっても安心できる仕組みです。

このような「見守り付き」や「高齢者支援付き」の物件は、

  • ひとり暮らしで家族が遠方にいる方

  • 将来的な体調変化が不安な方

 に特におすすめです。

入居者だけでなく、家族やオーナーも安心できるため、結果的に審査が通りやすくなるケースも多いのが特徴です。


まとめ


高齢者が賃貸住宅を借りるハードルは、ここ数年で確実に下がっています。かつては「高齢だと貸してもらえない」といった不安の声が多く聞かれましたが、制度の整備や社会の理解が進んだことで、「リスク」ではなく「共に支え合う暮らし」へと考え方が変わりつつあります。

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古家野 俊雄

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