原状回復において、修繕費用の負担がどちらにあるかを明確に理解することは非常に重要です。借主と貸主の双方にそれぞれの責任があり、どちらがどの費用を負担するべきかを知っておくことで、余計なトラブルを回避できます。
以下では、借主が負担する修繕項目と、貸主が負担する項目について詳しく説明します。
◆借主が負担する修繕項目
借主が負担する修繕項目は、主に借主の使用や過失によって生じた損耗が含まれます。これらは、借主に過失があると判断される場合や、通常の使用範囲を超えたダメージが発生した場合に費用負担が発生します。
・タバコによる壁紙の汚れやヤニ
タバコの煙が壁紙や天井にヤニを付着させ、黄ばみを引き起こすことがあります。これは「通常の使用」によるものとは見なされず、借主の過失として扱われることが多いです。そのため、退去時に壁紙の張替え費用を借主が負担する可能性が高いです。特に、タバコを吸う習慣がある場合は、壁紙の変色が大きくなるため、費用負担が重くなることがあります。
・ペットによる損害
ペットを室内で飼っている場合、フローリングの引っかき傷や壁の損傷が発生することがあります。これらは借主が回避できた損害と見なされるため、修繕費用を借主が負担することになります。特に、ペットによる損害が広範囲にわたる場合や、深刻なダメージが生じた場合は、修繕費用が高額になる可能性があります。
・壁の穴や釘跡
借主がインテリアのために壁に釘やフックを取り付けた場合、そのままにして退去すると、修繕費用が発生します。これらの損傷は借主の行為によって発生したものであるため、修繕費用を負担する可能性が高いです。小さな穴でも、原状回復の範囲に含まれるため注意が必要です。
・水回りのカビ
浴室やキッチンなどの水回りに発生するカビは。定期的な掃除を怠った場合、修繕が必要になります。カビの発生は放置すれば悪化するため、これが原因で修繕が必要になると、借主が負担することが多いです。特に、カビが壁や設備に深刻なダメージを与えた場合、借主の負担額が大きくなることがあります。また、湿気対策を怠ったことで発生したカビも同様に借主の責任と見なされ、修繕費用を負担することがあります。
◆貸主が負担する修繕項目
貸主が負担する修繕項目は、借主が通常通りに使用していたにもかかわらず発生した損耗や、設備の経年劣化による損傷が含まれます。これらは、時間の経過とともに避けられない自然な劣化と劣化と見なされるため、貸主が費用を負担することになります。
・経年劣化による設備の故障
エアコンや給湯器などの設備が長年使用された結果、自然に故障した場合は、貸主の負担となります。これらの故障は、借主が通常通り使用していた場合でも発生するものであり、借主の責任ではないため、修繕費用は貸主が負担します。例えば、給湯器の寿命が10年とされている場合、使用年数がこれに近づいている場合は、貸主の負担となる可能性が高いです。
・自然な摩耗や色褪せ
壁紙の色褪せやフローリングの摩耗は、日常生活で自然に発生するものであり、借主が負担する必要はありません。これらは通常の使用によるもので、貸主が費用を負担するべきとされています。特に、日当たりが良い部屋では、自然な色褪せが生じやすく、これは貸主が責任を持つべき範囲に含まれます。
・設備の寿命による交換
給湯器やエアコン、カーテンレールなどの設備が寿命を迎えた場合、これも貸主の責任で交換する必要があります。これらは消耗品と見なされるため、通常使用の範囲内であれば、借主に負担させるべきではありません。設備の寿命が来たと判断される場合、貸主がその交換費用を負担する可能性が高いです。