「保証会社ってなんだろう…?」
「審査に落ちたらどうしよう…」
新生活や転勤で賃貸物件を探していると、「保証会社利用必須」という言葉を目にすることが増えてきます。でも、「そもそも保証会社って何をしてくれる会社?」「審査ってどうやって判断されるの?」と、よく分からないまま不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
実際、「保証会社を使うってことは、私って信用されてないのかな?」とネガティブに捉えてしまう方もいますが、保証会社は“家を借りやすくするための仕組み”でもあるんです。
この記事では、
保証会社の役割や仕組み
審査の基準と通過のポイント
審査に落ちる理由とその対策
といった実際によくある疑問に答えながら、これから賃貸契約を結ぶ方が安心して行動できるための知識をわかりやすくお伝えしていきます。
これを読めば、保証会社の存在が「不安な壁」ではなく「信頼される後押し」に変わるはずです。
保証会社とは?

保証会社とは、賃貸契約において「連帯保証人」の役割を引き受ける専門の会社です。
本来、賃貸契約を結ぶ際には、家賃の滞納や退去時のトラブルに備えて、親族などに連帯保証人になってもらう必要がありました。 連帯保証人は、万が一借主が家賃を払えなかった場合、その支払い義務を借主に代わって果たさなければなりません。
しかし現代では、以下のような背景から連帯保証人を確保することが難しいケースが増えています。
親が高齢で収入がなく、保証人に適さない
親族に頼みにくい、または疎遠になっている
単身赴任や転勤、一人暮らしを始める若者の増加
外国籍の借主など、国内に保証人がいないケース
こうした事情を受け、連帯保証人の代わりに“保証会社”が入る契約形態が主流となってきました。
保証会社は、借主が家賃を滞納した場合に家主や管理会社に家賃を立て替えて支払うことで、貸主側の不安を軽減します。その後、立て替えた金額は保証会社が借主に請求するという流れになります。
また、多くの物件で「保証会社の利用が必須」となっており、保証会社を通すことでスムーズに契約が進められるのも大きなメリットです。保証会社の役割と仕組み

以下では、その具体的な役割と仕組みについて見ていきましょう。
◆家賃の立替払い
賃貸契約において、もっとも大きなリスクの一つが「家賃の滞納」です。借主が何らかの事情で家賃を支払えなくなった場合、従来であれば大家さんや管理会社がその影響を直接受け、対応に追われることになっていました。ですが、保証会社を利用することで、このリスクは大きく軽減されます。
具体的には、借主が家賃を滞納した際、保証会社がまず大家さんや管理会社に対して、滞納分の家賃を立て替えて支払います。これにより、貸主側は滞納リスクに怯えることなく、安定した賃料収入を確保することが可能になります。
この「立替払い」は、保証会社との契約に基づく正式な仕組みであり、物件オーナーにとっては非常に心強い存在です。また、家賃の立替が行われた後は、保証会社が借主に対して支払いを求める「代位弁済」の手続きへと進みます。
結果として、保証会社の介在によって大家・管理会社・借主それぞれの立場が守られた、安心感のある賃貸関係が築かれるのです。
◆借主への請求・督促
家賃を滞納した場合、保証会社が大家さんや管理会社に対して立て替え払いを行いますが、それで終わりではありません。保証会社が支払った分は、後日、借主本人に対して請求されることになります。この流れは法律的にも認められた「代位弁済(だいいべんさい)」という制度に基づいて行われるもので、保証契約に明記されている正当な手続きです。
保証会社からの請求は、通常はまず電話や郵送での通知から始まります。初期の段階では「いつまでにお支払いください」といった案内が中心ですが、これを無視してしまうと、再三の連絡や催促が続き、最終的には内容証明郵便の送付や法的措置(支払督促や訴訟など)に発展するケースもあります。
このように、保証会社は“代わりに払って終わり”ではなく、あくまでも「一時的に立て替えている」立場であるため、借主には返済義務が残るという点を忘れてはいけません。
万が一支払いが難しい場合は、連絡を無視せず、誠実に対応する姿勢が重要です。返済計画の相談に応じてもらえる可能性もありますし、誠意ある対応が信頼回復への第一歩になります。
◆大家さん・管理会社のリスク軽減
賃貸経営における最大の懸念事項のひとつが「家賃の滞納」です。どれだけ入居希望者の人柄が良くても、万が一の支払い遅延や音信不通といったリスクは常に付きまといます。そうした不安を大きく軽減してくれるのが、保証会社の存在です。
保証会社が契約に入ることで、家主や管理会社は万が一の滞納が発生しても、確実に家賃を回収できる体制が整います。これは賃貸経営にとって非常に大きな安心材料であり、賃料収入の安定化にも直結します。近年では「保証会社の利用が入居条件」となっている物件が増えているのも、こうした背景によるものです。
また、保証会社が間に入ることで、家賃督促やトラブル対応といった手間も軽減されます。大家さんや管理会社が直接借主と交渉する必要がなくなり、精神的な負担も抑えられるため、より円滑な賃貸経営が可能になります。
結果的に、保証会社の存在は「借主の信頼性を保証する仕組み」であると同時に、「貸主側の安心を支える仕組み」でもあるのです。貸す側・借りる側の双方にとって、信頼と安心を築く重要なパートナーだといえるでしょう。
保証会社の審査基準とは?

◆収入状況
保証会社の審査において、もっとも基本的で重視されるのが「収入の安定性」です。なぜなら、家賃を毎月滞りなく支払えるかどうかは、その人の収入に大きく左右されるからです。
審査上、有利とされるのはやはり正社員として継続的に働いている人ですが、それだけでなく、契約社員・派遣社員・アルバイトの方でも、一定の収入が安定して得られていれば審査に通る可能性は十分にあります。最近では、さまざまな働き方が一般化しているため、雇用形態そのものよりも、収入の「安定性」と「継続性」が評価のポイントになります。
一方、無職や転職直後、就職活動中といった状況の場合は、審査に不利となる可能性が高くなります。このような場合でも、諦める必要はありません。例えば、実家から仕送りを受けている、貯金がしっかりある、親族が緊急連絡先として協力してくれるといった「補足情報」をきちんと提示することで、審査を通過できるケースもあります。
要するに、保証会社が見ているのは「この人はちゃんと払ってくれそうか?」という信頼性です。収入に不安がある方も、自分の状況を正確に伝え、誠意を持って申告することで、十分にチャンスはあるのです。
◆勤務先・勤続年数
保証会社が審査で重視するもう一つの大きなポイントが、「どこで、どれだけの期間働いているか」という勤務先と勤続年数の情報です。これは単に収入額だけでなく、その収入が今後も安定して継続されるかどうかを見極めるための重要な判断材料となります。
たとえば、公務員や上場企業・大手企業に勤めている方は、「倒産やリストラのリスクが低く、安定性が高い」と評価され、審査では有利に働くことが多いです。一方で、中小企業や個人事業主でも、勤続年数が長ければ「この職場にしっかり定着して働いている=信頼できる」と見なされるケースもあり、単に会社の規模だけが全てではありません。
また、転職したばかりの場合や、勤続半年未満といった場合は、「今後も安定的に働き続けられるか」に疑問が持たれる可能性があるため、他の情報(過去の職歴、貯蓄額、親の支援の有無など)で補足することが大切です。
保証会社は、雇用形態や業種を通じて「この人に家賃を任せても大丈夫か?」を判断しています。だからこそ、正確な情報を記載し、自分の働き方に対する自信と継続性をしっかり伝えることが、審査通過へのカギとなるのです。
◆過去の信用情報
保証会社が審査を行う際、非常に重要なチェックポイントのひとつが「信用情報」です。信用情報とは、過去に契約したクレジットカードやローン、携帯電話端末の分割払いなどの支払い履歴や契約状況が記録されたデータで、CICやJICCといった信用情報機関に登録されています。
この情報の中に、支払いの遅延や未払いの履歴があると、「返済にルーズな人」と判断され、審査に不利に働くことがあります。特に「延滞が長期間に及んでいた」「債務整理や自己破産をしている」などの履歴は、いわゆる“ブラックリスト”扱いとなり、信販系保証会社ではほぼ審査が通らない可能性が高くなります。
また、注意したいのは携帯電話料金の「端末代」部分です。これもローン契約の一種として扱われており、遅延すると信用情報に傷がついてしまいます。「スマホ料金の遅れくらい…」と軽視しがちですが、信用審査においては立派なマイナス要素になります。
もし心当たりがある場合は、事前に信用情報をCICなどで開示請求し、自分の履歴を把握しておくのも有効な手段です。そして、過去にトラブルがあった場合は、管理会社に正直に伝えた上で、他の保証会社や物件を提案してもらうといった対応が現実的です。
信用情報は、過去の行動の「信頼の証」。普段から丁寧な金銭管理を心がけることが、結果的に住まい選びをスムーズに進める力になります。
◆緊急連絡先の有無
賃貸契約において、緊急連絡先の提出はほぼ必須項目といえます。保証会社は、いざという時に確実に連絡が取れる人がいるかどうかを非常に重視しています。これは、借主と連絡が取れない場合や、支払いが滞った際などに備えるための保険のようなもので、連絡が取れない、あるいは関係性が曖昧な人物を申告していると、信頼性に欠けると判断され、審査に不利になる可能性があります。
そのため、緊急連絡先にはできる限り親族(両親や兄弟姉妹など)を登録するのが理想的です。特に若年層や学生、初めての一人暮らしをする方の場合は、両親を緊急連絡先とするケースが多く、それが最もスムーズです。事前に了承を得ておくこと、電話がつながる時間帯や対応可能な範囲などを共有しておくと、審査もスムーズに進みます。
また、緊急連絡先は保証人ではなく「緊急時に連絡が取れる人」なので、必ずしも収入や職業は問われません。ですが、その人物の所在がはっきりしていること、実際に連絡が取れることが求められるため、いい加減に選ぶことは避けましょう。
保証会社の審査に落ちる主な理由

◆収入に対して家賃が高すぎる
◆過去に家賃滞納歴がある
◆信用情報に傷がある
◆書類の不備や虚偽申告
◆緊急連絡先が不適切
保証会社の審査に通るための重要なポイント

◆家賃は「手取りの3分の1以内」に抑える
賃貸物件を選ぶ際、家賃と収入のバランスは審査において非常に重要なポイントです。特に保証会社は「この人は毎月の家賃を無理なく支払えるか?」という観点で返済能力をチェックしています。家賃が収入に対して高すぎる場合、「支払いが滞るリスクがある」と判断され、審査が通りにくくなる可能性があります。
一般的な目安としては、手取り月収の3分の1以内に家賃を抑えること。例えば、月収の手取りが18万円であれば、6万円程度の家賃が妥当な上限ラインです。これを大きく超える金額の物件に申し込んでしまうと、収入に対して無理をしていると見なされ、結果的に審査落ちとなる可能性が高まります。
特にフリーランスや契約社員、アルバイトの方は収入の波があると判断されることもあるため、少し余裕を持った家賃設定を意識することが審査通過への近道です。無理なく暮らせる範囲で物件を探すことが、自分自身の生活を安定させる意味でも大切です。
◆申込書類は正確かつ丁寧に記入する
保証会社の審査では、提出する申込書類の内容がそのまま「あなたの信用情報」として扱われます。そのため、記入内容に誤りがあったり、情報があいまいだったりすると、「この人は信用できるのか?」と疑問を持たれる原因になり、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に注意したいのは、勤務先・年収・緊急連絡先といった項目です。これらの情報は、場合によっては在籍確認や電話連絡でチェックされることもあるため、曖昧な記載や嘘の申告は絶対に避けましょう。「少しぐらいならバレないだろう」と思っても、保証会社はプロ。情報の矛盾にはすぐに気づきます。
また、記入ミスや空欄のまま提出すると、「書類すらまともに準備できない人」として信頼を損なう要因になってしまいます。特に繁忙期は審査件数も多いため、丁寧に書かれている書類ほど処理がスムーズになり、好印象を与えることにもつながります。
誤字脱字を防ぐためにも、記入前に必要書類を揃え、落ち着いた環境で丁寧に書くことを心がけましょう。「正確さ」と「誠実さ」が、審査を通過するうえでの基本姿勢です。
◆緊急連絡先は信頼できる親族や近しい人を選ぶ
保証会社の審査では、「この人に何かあったとき、誰が連絡を取れるのか」という点も重要な判断材料の一つです。特に単身者や若年層の場合、緊急連絡先の信頼性が低いと、支払いが滞った際の対応に不安が残るため、審査が不利になることがあります。
そのため、緊急連絡先にはできる限り信頼性の高い親族(両親や兄弟姉妹)を選ぶのが基本です。友人や知人を登録することも可能ですが、「関係性が不明確」「音信不通になりやすい」といったリスクを保証会社は警戒します。また、連絡先として申告する前に、必ず事前に了承を得ておきましょう。突然連絡が入り「そんなの知らない」と言われてしまうと、信用を大きく損なう原因になります。
さらに、連絡が取りやすい携帯電話の番号に加えて、固定電話や勤務先の連絡先も補足として用意できると、信頼性が高まり審査でプラスに働くこともあります。
「いざという時に確実に連絡が取れる体制が整っている」ことは、保証会社にとっても安心材料。丁寧に選び、しっかり準備しておくことが大切です。
◆スマホやクレジットカードの支払いは遅延しない
スマートフォンの端末代金を分割で購入している場合、それは立派な「ローン」として信用情報に記録されます。多くの人が意識していませんが、スマホの割賦払いもクレジット契約と同様に取り扱われ、支払い状況は信用情報機関に毎月報告されます。そのため、支払いが遅れた場合は「延滞情報」として記録され、保証会社の審査でマイナス評価につながることもあります。
特に、信販系保証会社では個人信用情報の照会を重視しており、たとえ少額の遅延でも「ルーズな支払い傾向がある」と判断されかねません。スマホだけでなく、クレジットカードや各種ローンの支払いを含め、日頃から期日通りの支払いを心がけることが、信頼性の高い借主と見なされるための第一歩です。
賃貸契約の段階で自分の信用情報に問題があると、希望する物件に申し込めなかったり、余計な手間や時間がかかることもあるため、普段からお金の管理を丁寧にしておくことが非常に大切です。
◆勤務先情報は在籍確認を想定して準備する
保証会社によっては、申込者の勤務先に在籍確認の電話を入れることがあります。これは「本当にその会社で働いているのか」「収入が安定しているか」を確認するための重要なプロセスです。しかし、会社の受付や総務の担当者が申込者の在籍を把握していない場合、うっかり「そのような方はいません」と答えてしまうケースもあります。これは審査上、大きなマイナス要素となり、最悪の場合は審査に落ちてしまうこともあるのです。
そのため、申し込みの際は、自分の所属部署名やフロア、代表電話番号、直属の上司や人事担当者の連絡先などを正確に記載することが大切です。また、事前に「保証会社から在籍確認の電話が入るかもしれません」と、社内の関係者に一言伝えておくことで、スムーズに対応してもらえる確率が高まります。
ちょっとした気配りが、余計なトラブルを未然に防ぎ、審査通過の可能性を高めるポイントになります。
◆不安がある場合は管理会社に正直に相談する
過去に家賃の滞納歴がある方や、現在の収入が不安定な状況にある方は、「審査に落ちてしまうのでは」と不安を感じるかもしれません。ですが、そういった不安要素があるからこそ、事前に管理会社へ正直に相談することがとても重要です。多くの管理会社や仲介業者は、これまでにさまざまな入居希望者を対応してきており、審査に不安を抱える方への代替案や、比較的審査が柔軟な保証会社を利用できる物件などを提案してくれることがあります。
また、「家賃をもう少し下げたほうが良い」「緊急連絡先を親に変更した方が審査に通りやすい」といった具体的なアドバイスをもらえることもあり、結果的にスムーズに入居までたどり着けるケースも少なくありません。
自己判断で情報を隠したり、ごまかしたりすることは、かえって審査での信頼を損ねる原因になります。むしろ、誠実に事情を伝えて前向きに相談する姿勢が、「この人なら信頼できる」と判断される大きなプラス要素になるのです。
まとめ|保証会社は「借りる人を守る」側面もある
「保証会社って何だか怖い…」「自分は信用されていないのかな?」
そんな不安を抱えながら物件探しをしている方も少なくないと思います。でも、この記事を通じて見えてきたように、保証会社は“借りる人を拒むための存在”ではなく、“安心して住まいを借りられる環境を整えるための仕組み”なのです。
現代の暮らしでは、家族関係の変化や働き方の多様化などにより、連帯保証人を確保することが難しいケースが増えています。そんな背景の中、保証会社が連帯保証人の役割を担うことで、誰もが平等に、そしてスムーズに新生活をスタートできるようにサポートしてくれているのです。
もちろん、審査には収入や勤務状況、信用情報などが見られますが、それは「きちんと家賃を払っていける人かどうか」を見極めるため。ポイントを押さえて正確に対応すれば、特別なことをしなくても審査をクリアできるケースはたくさんあります。
大切なのは、「自分の状況を正直に伝えること」「丁寧に準備すること」「誠実な姿勢で向き合うこと」。この3つがあれば、保証会社の存在は“障壁”ではなく、“信頼されるための後押し”になってくれます。
安心して契約を進めるために、ぜひ今回の内容を活かして、自分らしい新生活の一歩を踏み出してください。