引っ越して間もないのに「エアコンが効かない」「キッチンの下が水浸しに…」そんな経験はありませんか?
賃貸物件で多いトラブルの代表が、エアコンや水回りの不具合。突然起きるうえ、どこに相談すればいいのか迷ってしまう方も多いはず。
この記事では、よくある設備トラブルの原因と対処法、そして管理会社への上手な伝え方まで、わかりやすくまとめました。
よくあるエアコンのトラブルと原因・対処法

◆よくあるエアコンの不具合とは?
エアコンでよくある不具合には、次のようなものがあります。
エアコンが冷えない、または温まらない
運転中に異音がする、振動が大きい
嫌なニオイがする
室内機から水が垂れてくる(水漏れ)
これらの症状は、単なる設定ミスから機械の故障まで、さまざまな原因が考えられます。
◆主な原因と背景
エアコントラブルの原因には、以下のようなものがあります。
フィルターの汚れ:空気の通りが悪くなり、冷暖房効果が下がります。
室外機のまわりに物が置かれている、または汚れがひどい:排熱・吸気がうまくできず、性能が落ちます。
冷媒ガス(エアコンのガス)が漏れている:専門業者による点検・補充が必要です。
排水ホース(ドレン)の詰まり:結露水が排出できず、水漏れの原因になります。
エアコン自体の経年劣化や内部の不具合:長期間使用されている場合に多いです。
◆入居者が確認すべきポイント
まずは入居者自身で確認できる部分をチェックしてみましょう。
コンセントが抜けていないか
リモコンの電池が切れていないか
運転モードや温度設定に誤りがないか(冷房になっていない、設定温度が高すぎる等)
フィルターにホコリがたまっていないか(掃除可能であれば清掃を)
これらを確認しても改善が見られない場合は、無理に操作を続けるのではなく、早めに管理会社に連絡しましょう。
◆管理会社への連絡ポイント
トラブルが続く、または明らかに異常がある場合は、管理会社に相談するのが基本です。その際、次の点を伝えるとスムーズに対応してもらいやすくなります。
症状が起きている状況(冷えない、異音がする、水が垂れている等)
いつから、どのくらいの頻度で起きているか
入居者として確認・対応した内容(フィルター清掃、設定確認など)
可能であれば、写真や動画を添えて伝えると状況がより正確に伝わります。
よくある水回りのトラブルと原因・対処法

◆よくある水回りのトラブルとは?
賃貸物件で見られる水回りのトラブルには、次のようなものがあります。
キッチンや洗面台の下が水浸しになっている(配管や蛇口からの水漏れ)
トイレの水が詰まって流れない、流れるのに時間がかかる
浴室の排水が悪く、水が流れにくい
蛇口を閉めても水が止まらない、または水が出ない
これらは突発的に発生することも多く、慌ててしまいがちです。冷静に原因を探り、適切に対処しましょう。
◆主な原因と背景
水回りトラブルの主な原因は、以下のようなものが考えられます。
排水口や配管の詰まり:髪の毛、食べかす、油分、異物などが原因で水の流れが悪くなります。
パッキンの劣化:蛇口などの内部部品が古くなり、水が止まりにくくなることがあります。
排水管の破損や劣化:目に見えない部分での損傷により、水漏れが発生するケース。
水道の凍結:冬場に屋外配管や水道管が凍ってしまい、水が出ないことがあります。
ウォシュレットや給湯器の故障:機械トラブルによって水の出が不安定になることも。
◆入居者が確認・対応できること
まずは、自分でできる範囲での確認と対応を行いましょう。
排水口やトラップの掃除:髪の毛やゴミが詰まっていないかを確認。詰まりが軽度なら、市販のパイプクリーナーで解消する場合もあります。
蛇口の締め直し・調整:締めが甘いだけのケースもあるため、落ち着いて確認。
止水栓の確認:洗面所やキッチン下にある止水栓が全開になっているか確認。
冬場は凍結の可能性を疑う:気温が低い時期、水道管の凍結で水が出ない場合は自然解凍を待ちましょう。ドライヤーなどで温める方法もありますが、無理は禁物です。
◆管理会社や業者対応が必要なケース
以下のような場合は、速やかに管理会社に連絡しましょう。
排水口の掃除をしても改善しない
水漏れの原因がわからない、配管の奥から水がしみ出している
蛇口やシャワーの水が完全に止まらない/異音がする
トイレの詰まりがひどく、自力での解消が難しい
設備機器(給湯器やウォシュレットなど)の不具合がある
その際には、以下の情報を整理して伝えるとスムーズです。
症状の内容と発生状況(いつから・どこで・どんな状態か)
入居者として確認・試した対応(掃除した、止水栓を見たなど)
写真があれば併せて送る(管理会社にとっても状況が把握しやすくなります)
トラブル時の正しい連絡の仕方

◆事前に整理しておくべき情報
連絡の前に、以下の3点を明確にしておきましょう。
いつから不具合が発生しているか
→ 例:「昨晩からエアコンが冷えなくなった」「今朝からキッチンの水漏れが始まった」どの程度の症状か(頻度・緊急性)
→ 例:「まったく使えない」「時々止まる」「少しずつ水がたまってきている」どの場所・設備で起きているか
→ 例:「浴室の排水口」「リビングのエアコン」「トイレの水が止まらない」
これらの情報をメモやスマートフォンのメモアプリなどにまとめておくと、連絡時に焦らず対応できます。
◆管理会社やオーナーへの連絡例(文章テンプレート)
実際に連絡を入れる際は、以下のような文章を参考にしてみてください。
<メール・LINEでの例>
件名:エアコンの不具合について(○○号室)
お世話になっております。○○マンション○○号室に入居中の○○です。
昨日(○月○日)の夜から、リビングのエアコンが冷えない状態になっています。
リモコンの設定やフィルター清掃などを確認しましたが、改善しませんでした。
使用に支障が出ているため、ご確認と対応をお願いできますでしょうか。
状況の写真も添付いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
<電話でのポイント>
氏名と住所(部屋番号)を最初に伝える
症状の概要(いつから、何が、どのように)を簡潔に
可能であれば、事前に送った写真や動画について言及する
◆写真や動画を撮っておくとスムーズ
設備の不具合は、言葉だけでは伝わりにくいこともあります。
例えば、
エアコンからの水漏れの様子
トイレの水が流れ続けている様子
排水口からあふれ出る水の様子
などは、スマートフォンで写真や動画を撮っておくと、管理会社が状況を正確に把握しやすくなります。また、後日のやり取りで「どのような状況だったか」を再確認する際にも役立ちますので、必ず記録を残しておきましょう。
費用は誰が払う?トラブル時の負担区分について

◆通常使用での故障は「貸主負担」が原則
入居者が日常的に丁寧に使用していたにもかかわらず発生した故障や不具合については、原則として貸主(オーナー)側の負担となります。これは、「通常使用の範囲内で発生した自然な劣化・故障」と見なされるためです。
<具体例>
エアコンの経年劣化による冷暖房の効きの悪化や異音発生
→ 10年以上使用されている機種で、突然冷えなくなった/変な音がするなどの症状は、経年による自然な故障と判断されることが多く、オーナー負担での修理・交換対象になる可能性があります。排水管の老朽化により、キッチンや洗面台下が水漏れするケース
→ ゴミの詰まりや異物混入ではなく、長年の使用による配管の劣化が原因の場合、構造的な問題と見なされ、オーナー側での対応になります。水道のパッキン劣化による蛇口からのポタポタ漏れ
→ 入居者が特別な力を加えたわけでもなく、自然に発生したものについては、消耗部品の交換として貸主負担になることが一般的です。
このような場合は、まず速やかに管理会社またはオーナーに連絡し、状況を報告してください。
写真や動画を添えて伝えると、スムーズな判断・対応につながります。多くのケースで、無償での修理・交換が行われていますので、遠慮せず相談しましょう。◆入居者の過失や不注意による場合は「入居者負担」
一方で、入居者の過失や不注意によって発生した故障・トラブルについては、入居者側の責任として自己負担での修理対応が求められる可能性があります。
<具体例>
エアコンのフィルター清掃を怠ったことで、内部が汚れ故障したケース
→ フィルターにホコリや汚れが詰まり続けた結果、冷暖房の効きが悪くなったり、異音が発生した場合、適切なメンテナンスを怠ったと判断されることがあります。トイレにティッシュペーパーやおしりふき、異物などを流して詰まらせたケース
→ トイレットペーパー以外の異物を流すと配管に詰まりやすく、トイレが使用できなくなる原因になります。このような場合は、「明らかに流してはいけないものを流した」と判断され、修理費を請求される可能性が高くなります。キッチンのシンクに油や生ゴミを流し続けたことで、排水管が詰まったケース
→ 調理後の油をそのまま流したり、三角コーナーを設置せず食材カスを直接流す行為は、配管詰まりの典型的な原因となります。詰まりによる排水不良や水漏れも、過失扱いとなることがあります。水をこぼしたまま放置し、フローリングを腐食させたり、カビが発生したケース
→ 小さな水漏れでも、長時間放置すると建材に染み込み、腐食やカビの原因になります。これらの損傷は原状回復義務の範囲とされ、修復費用を請求される可能性があります。
これらのトラブルは、「日頃の使い方に問題があった」と判断された場合に発生する負担です。普段から注意して使用・掃除を行うことで、こうしたリスクを避けることができます。
注意したいのが、退去後にトラブルが発覚し、修繕費の請求が後から届くケースです。たとえば、排水詰まりや床材の腐食など、使用中は気づかれなかった問題でも、ハウスクリーニングや次の入居準備の際に発見されることがあります。
特に、「どう考えても流してはいけないものを流していた」ような明確な過失がある場合は、退去後でも請求される可能性があります。そのため、もし少しでも心当たりがある場合は、退去時にしっかりと管理会社に伝えておくのが安心です。
また、万一トラブルが起きてしまった際も、正直に状況を説明し、写真や動画を添えて管理会社に相談することが、誠実な対応とみなされるポイントになります。
◆敷金から清算されることもある
入居中の過失による修理や原状回復が必要になった場合、退去時や契約更新のタイミングで、その費用が敷金から差し引かれることがあります。たとえば、設備の破損や汚損が入居者の不注意によるものと判断された場合、その修繕費用が敷金から充当されるのが一般的です。
ただし、敷金の範囲内ですべての費用がまかなわれるとは限りません。費用が敷金を上回った場合には、差額の支払いを別途請求されることもありますので注意が必要です。
一方で、経年劣化や自然損耗など、貸主(オーナー)側の責任とされる内容であれば、敷金から差し引かれることはありません。判断が分かれるケースもあるため、不明点は管理会社に事前に確認しておくと安心です。
◆契約書や重要事項説明書の確認ポイント
費用の負担については、契約時に交わした「賃貸借契約書」や「重要事項説明書」に明記されているケースがほとんどです。
<確認すべき項目>
設備の故障時の対応区分(貸主・借主の負担)
敷金の用途・清算ルール
原状回復に関する特約の有無
修理が必要になった場合の連絡先や手順
トラブルを防ぐためにできること

◆フィルターや排水口の定期的な掃除
エアコンや水回りの設備は、日常的な清掃とちょっとした心がけで機能を維持しやすくなり、故障やトラブルのリスクを大きく軽減できます。
▶︎エアコンのフィルター掃除
エアコンのフィルターは、1〜2か月に一度を目安に掃除しましょう。特に夏や冬など稼働が増える時期は、ホコリや花粉、ペットの毛などがたまりやすく、冷暖房効率の低下や異臭の原因になります。
掃除機でホコリを吸い取るだけでも効果がありますが、汚れがひどい場合は水洗い+陰干しもおすすめです。長期間放置すると内部に汚れが侵入し、業者によるクリーニングが必要になることもあるため、こまめな手入れが経済的にも安心です。
▶︎排水口・排水トラップの掃除
キッチン・洗面所・お風呂の排水口は、髪の毛・食べかす・石鹸カスなどが詰まりやすい場所です。目に見えるゴミはこまめに取り除き、週1回程度を目安に掃除するのが理想です。
特にお風呂や洗面所の排水トラップ(U字の部分)には汚れが溜まりやすく、放置すると悪臭や排水不良の原因になります。市販のパイプクリーナー(洗浄剤)を使うことで、目に見えない部分まで清掃でき、ニオイ予防にも効果的です。
▶︎トラブル予防のポイント
掃除の頻度は、「汚れがたまってから」ではなく「たまる前」が理想
エアコンや排水設備は、性能が落ちると電気代や水道代にも影響が出ることがある
汚れや詰まりを放置すると、修理や交換対応が必要になる場合もあるため、日常的なメンテナンスが最も効果的な「予防策」になります
掃除の頻度は、「汚れがたまってから」ではなく「たまる前」が理想
エアコンや排水設備は、性能が落ちると電気代や水道代にも影響が出ることがある
汚れや詰まりを放置すると、修理や交換対応が必要になる場合もあるため、日常的なメンテナンスが最も効果的な「予防策」になります
◆水回りの使い方に気を配る
水回りの設備は、使い方ひとつでトラブルの起きやすさが大きく変わる部分です。ちょっとした意識と予防策で、不具合のリスクを大きく減らすことができます。
▶︎カビ・腐食対策には「水分の拭き取り」を習慣に
お風呂・洗面所・キッチンなど、水を多く使う場所では、使用後にできるだけ水分をふき取る習慣をつけましょう。
浴室の壁や床に水滴を残さない(スポンジワイパーやタオルで簡単に対応可)
キッチンのシンク周辺も、使用後にサッとひと拭きすることで水垢・カビ・サビの発生を防げます
特に湿気がこもりやすい浴室では、換気とふき取りのセットがカビ予防に効果的です。
▶︎排水口への「流してはいけないもの」に注意
キッチンや洗面所では、以下のようなものを直接流さないように注意が必要です。
油(冷えると固まり、配管を詰まらせる原因に)
食材カス・米粒・野菜の皮(ストレーナーやネットでしっかりキャッチ)
固形物や髪の毛(ヘアキャッチャーや不織布フィルターを設置して予防)
また、調理後の油は凝固剤で固めて捨てる、もしくはキッチンペーパーなどで拭き取ってから洗い流すのがベストです。
▶︎ トイレが詰まったときの対処法
万が一トイレが詰まってしまった場合でも、慌てずにラバーカップ(スッポン)を使ってみてください。ラバーカップはホームセンターや100円ショップでも購入でき、軽度の詰まりであればほとんどがこれで解消します。
水の流れが悪いと感じたときも、まずは無理に水を流さず、落ち着いて対処するのがポイントです。繰り返し詰まるような場合は、流してはいけないものを使用していないか見直すことも大切です。
▶︎ 冬場は「凍結対策」も忘れずに
寒冷地では、冬の配管凍結にも注意が必要です。以下のような対策をとると効果的です。
就寝前に蛇口を少し開けて水をチョロチョロ流す(水を動かすことで凍結防止)
外の水道や給湯器には保温カバーを設置する(ホームセンターでも入手可能)
室内の水道も、長期間不在になる前には水抜きを行うのが望ましいです
このような小さな工夫を積み重ねることで、配管の詰まりや漏水、カビの発生といった大きなトラブルを未然に防ぐことができます。水回りは毎日使う場所だからこそ、日常的な配慮が住まい全体の安心と快適さを支える基盤になります。
◆異変を感じたら早めに相談する
「なんとなく気になるけれど、まだ大丈夫かも…」と様子を見ているうちに、トラブルが悪化し、修理費用や被害が大きくなることがあります。
例えば、
水の流れがいつもより遅い
エアコンの効きが弱く感じる
変な音やニオイがする
配管や床が少し湿っている気がする
こうした軽微な異変でも、実は設備不良の初期サインであることが少なくありません。
特に賃貸物件では、放置したことで被害が拡大し、入居者の過失と判断されるケースもあります。だからこそ、「気づいたらすぐ相談」が、結果的に最も安心でスムーズな対応につながります。
「この程度で連絡して大丈夫かな?」と迷ったときこそ、早めに管理会社へ相談することをおすすめします。
まとめ
エアコンや水回りのトラブルは、どんな賃貸物件でも起こり得る身近な問題です。突然の不具合に戸惑うこともあるかもしれませんが、正しい知識と落ち着いた対応があれば、大きなトラブルに発展する前に対処することができます。
まずは、日常の中でできる予防策を心がけること。
そして、万が一トラブルが起きたときには、状況を整理してスムーズに管理会社へ連絡することが大切です。
入居者の負担になるケースとオーナー側が対応すべきケースを知っておくことで、費用面でも安心して暮らせます。
日々の暮らしをより快適にするために、「備え」と「対応力」を身につけておきましょう。トラブルが起きたときこそ、落ち着いて丁寧に対応することが、信頼ある賃貸生活の第一歩です。